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業務閑話〜造りたいきもち〜

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普通のいい家を造るという事。
新しい手法や、モダンな住宅。目新しい形状。普通でない考え方。
そういう「新しいもの」を造った方が、評価されやすいだろう。いい意味でも悪い意味でも、人の目に触れて多少の話題性を持つ事があるだろう。
だけど、それは僕の造りたいものだろうか。
「住宅特集」や世界中の住宅作品の写真集を観ていて、面白いとは思う。すごいなぁとも思う。奇麗だとも感じるだろうし、その反面、「本当に住みやすいのかな」などとも感じてしまう。昨日テレビでやっていた「ドリームハウス」を観ていても「価値観は人それぞれだからなぁ」などとつぶやいてしまう。諦めに似た感覚を持ってしまう。
そいういう家を僕は造りたいのだろうか?

僕が今まで手がけた住宅や店舗。新しいところなんて一つもないかもしれない。
珍しい材料も、斬新なディテールもないかも知れない。
だけど、僕はどちらかと言えば満足をしている。お施主様も喜んでくれている。
自分で言うのもなんだが、美しいと思う。使いやすいとも感じている。
お施主様とそこを訪れた人はいい評価をくれる。工事の端部で不満があるとの話があったけれど、概ね「いい仕事」ができたと感じている。かといって反省点もたくさんある。
足りなかったお施主様との対話。躊躇した新しい挑戦。

雑誌を初めとするメディアに取り上げられることもなければ、応募もしたこともない。投稿したこともない。「リフォームコンクール」に挑戦しては?と言ってくださる方もいるが、「さて、どんなものかなぁ」と何もしないでいる自分がいる。そこに興味がないのかもしれない。

では。
僕が造りたい「普通のいい家」とはなんだろう。どんな建築家もいい家を造ろうとしている。それは間違いない。
そこにはたくさんの作り手の思惑や哲学があるだろう。
作り手の数だけ、造られたものの数がある。作り手は何も建築家だけじゃない。工務店さんをはじめとする本当に手を動かす職人さんたち。周りの環境。流行や、時代。
全部が集まって家ができる。
真ん中に、希望と要望を持ったお施主さんがいる。

僕はその中の一つでしかない。その一つの責任を全うすればいい。「いい家をつくる」という目的だけを真摯に遂行すればいい。僕の仕事はそれだけです。

「普通のいい家」
近代建築を目指すことだろうか。家の進歩を目指すことだろうか。住むということに新しい哲学を吹き込むことだろうか。僕は疑問に思ってしまう。

何も、すべてが標準装備のハウスメーカーさんやパワービルダーの家がいいという訳じゃない。不便のなかに新しい発見がある。生活の濃淡は、プラン上のプライオリティーがそのまま鏡のように映し出されてくる。
安藤忠雄の「住吉の長屋」いいじゃないですか。毎日の生活に求める「快適さ」が違うから、雨の日の傘も楽しめる。
僕の先生であるカガミ建築計画の各務所長。決して、自身の考えのみに突き進むことなく、常にお施主さんとの対話を大切にして家造りを進める建築家。「家はお施主様と一緒につくるもの」
目新しいさや珍しさよりも居心地の良さや気持ちよさを大切にしている人。「居心地の良さ」のためのディテール。「違和感を与えない」という事。

今でも一緒にお仕事をさせて頂いている株式会社リモデルの志津田社長。普通とはいかに難しいか。お金のこと。工法の事。造る職人さんの手間を考えた仕事。手間が増える分だけ、お金が掛かって、しかも「奇麗さ」から遠のいて行くということ。
他に好きな建築家。アルバ・アアルト。堀部安嗣。吉村順三。この人たちの建築を目新しくモダンだと今の時代に言う人がいるだろうか。だけど、写真でしか観た事もないのだけど「いい家」だと感じる。

さて。来週から以前ちょっとご紹介した新築住宅の計画が本格的にスタートする。
僕が感じる「普通のいい家」がどのような形になって行くか、今だ全くわからないけれど、「いい家」をもっともっと、考えないといけない。
考えて考えて、だけどそこでお施主様との対話を積み上げて行かないと。
いままでの経験を全部積み重ねて、その上に新しいものをまた乗せて行く。
そんな仕事です。大変だなと思う。さらっと流しではできない。リフォームでも新築でも。
ものを造る仕事は大変だと思う。いや、どんな仕事も大変だと思うけれど。
だけど、僕はこの仕事が好きだ。楽しみでしょうがない。


建築写真家 藤本一貴氏来訪


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友人の建築写真家、藤本一貴君が新しい事務所へ来訪してくれました。
藤本君は、店舗建築の専門誌、商店建築や、コンフォルト、旭硝子株式会社をはじめとする企業のIR誌の写真を中心に空間・建築の写真を専門にしているカメラマンです。
たくさんの写真を見せてもらいながら、カメラマンから観た建築の話や撮影にまつわる業界の話などをして、昼間からビールを呑みながら、とても楽しく過ごしました。
引越し祝いのお土産まで頂きました。藤本君、ありがとう!


中でも、スリランカを代表する建築家ジェフリー・バワの代表作であるいくつかのホテルを撮影に行った時の話が面白く、次の海外旅行は是非スリランカに行ってみたいと思いました。
そのときの特集は、商店建築2009年9月号に掲載されていますので、興味のある方は是非。

こちらは、藤本君が撮影した写真ではないのですが(ジェフリー・バワのホームページから拝借致しました)、ジェフリー・バワの設計した"Kanadalama"というホテルの写真です。何ともスターウォーズに出て来た惑星エンドアの様な光景です。
内装もすばらしく、本当に一度訪れてみたい。そんなホテルです。

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正直に言って、ここでお見せできないのが残念ですが藤本君の写真の方がすばらしいです。

("藤本一貴 写真"でgoogle画像検索をすると、いくつか写真を観る事ができます)

いつか、藤本君に撮ってもらえるような建物を設計したい。これもモチベーションの一つとなりました。

どなたか建築関係の方。腕はもちろん素敵な人柄の写真家ですので、お仕事のご依頼があればお気軽に連絡下さい。
今、彼もホームページを作成中とのことです。ホームページが完成したら、またこちらでご紹介致します。


ブルーノ・タウトのシンポジウム

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先週の金曜日ですが、ドイツ文化会館で開催されたシンポジウム『日本を評価した建築家ブルーノ・タウトの作品と思想』に参加してきました。
前半は、建築家ブルーノ・タウトの作品と生涯の紹介、後半はパネルディスカッションが行われ、大変興味深いシンポジウムでした。
ちょうど1ヶ月前に何か世界遺産を紹介する番組で"Britzの馬蹄型住宅"を放送していたので、いい機会と思い参加しました。先ほどの馬蹄形住宅を紹介しているホームページの作者であるお茶の水女子大学の田中辰明教授が基調講演やパネルディスカッションのモデレーターをされました。初めの写真は田中先生の著書の写真をお借りしました。



ブルーノ・タウトの紹介はここでは致しませんが、シンポジウムならではの書籍には書かれない話を少し。
Britzの馬蹄形住宅が有名なブルーノ・タウトですが、こちらの集合住宅の近くにタウト設計の小住宅が保存されています。1週間単位で泊まる事もできるので、ベルリン観光の起点にもおすすめとのこと。予約や詳細はこちらのサイトから。http://www.tautes-heim.de/

若い頃、タウトは表現派の建築家として活躍していたとのこと。「すべての建物に色彩を」という色彩宣言を行い、色彩豊かな集合住宅を多数設計しています。そして、色の研究に、ゲーテの色標や色環を用いていたとのこと。ゲーテの名前が出てきて驚きました。おもしろい。

建築的は話では、ブルーノタウトが設計した集合住宅は劣悪な環境で生活していた労働者階級のために作られたのですね。そこでは、今でも使えるパッシブな方法が取られています。集合住宅には、必ず屋根裏部屋と半地下室が作られていて、外気との緩衝帯として使われました。また、壁厚を大きくとり(1階で64cmも!)熱容量が大きくなるようにされていたそうです。
集合住宅群の紹介はこちらのNHKのサイトが簡単にわかりやすく書かれています。

ブルーノ・タウトとは少し話がずれるのですが、武蔵野美術大学の長谷川教授がこんな事を。
「20世紀の建築は3つの要素に分けることができる。コルビュジエに代表される単純形態の"キューブ"、ガウディに代表される人体を考えた"チューブ"、ミースに代表される"クリスタル"」とても興味深い考え方です。シンポジウムの後、懇親会でお話させて頂いたのですが、これから本に書かれるとのこと。出版がいつになるかわからないとの事ですが、楽しみです。

最後に、ブルーノ・タウトが残した"Kunst ist Sinn"という言葉をどう日本語に訳すか?というディスカッションで終わりました。
ドイツ語で"Kunst"が「芸術」、"Sinn"は「意味」という意味ですが、皆さんは何と訳しますか?
"Kunst ist Sinn"
考えると深い言葉です。こういう言葉は訳せませんね。


新しい事務所のこと

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今年も桜が満開に近づきました。毎年のことですが、なんだか嬉しい気持ちになります。
上の写真は、新しい事務所の窓から眺めた景色です。
大昔は川だったんでしょうか?事務所の前には細長い公園が続いていて、桜が奇麗に咲きました。
ソメイヨシノの寿命は100年くらいとのことですので、100年前にはなかった公園なのかもしれません。ちょうど道路が湾曲した部分に私の事務所があり、通り(と公園)を見渡すことができます。
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その公園から新しい事務所のあるビルを見上げた所です。写真のグレーの建物の一番上の階に事務所があります。5階建ての何とも細いビルですが、公園に面しているため、眺めも風通しも日当りも最高です。日当りが良すぎて夏の暑さが怖いですが。


場所は、明治座の近くになります。最寄り駅は浅草線と日比谷線の人形町駅、都営新宿線の浜町駅、半蔵門線の水天宮駅です。なかなか便利なところで、東京駅や神田駅も2km以内なので歩けなくもありません。当分は自転車生活ですね。

と、いう事務所です。事務所の中はまだまだ引っ越しの荷物が片付かず写真はお見せする事ができませんが、お近くにお寄りの際は是非遊びに来てください!




安藤忠雄 〜自ら仕事を創造せよ〜

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ふと立ち寄った本屋で見つけました。
今月、NHKの「仕事学のすすめ」が安藤忠雄の特集だったんですね。知りませんでした。
思えば2000年。大学を卒業して造園設計の会社に就職したとき、社内旅行が淡路島の「淡路花博」でした。その会場設計を行っていた安藤忠雄の名前を初めて知りました。
そして、当時NHK人間講座で安藤忠雄氏が「建築に夢をみた」という番組をしていて、同じようなNHKテレビテキストを読んでいたなっと。
それから12年。来月4月から仕事を復帰する訳ですが、このタイミングで放送されることに何かしらを感じてしまいます。

安藤忠雄の本を読むと、なぜか仕事をやる気になるんですね。もっと仕事をやりたくなる。
「闘争心」だとか、「精一杯」だとか、建築学や芸術に関する言葉ではなく、背中を後押しされるような言葉、叱咤されるような言葉がたくさん出てきます。建築の話もわかりやすいです。
とっても正直でまっすぐな人なんだと思います。だからでしょうか。
今日が、放送は最終日です。こんな時、テレビを持っていないことが残念に思います。

しかし、建築の空間は、いくら本で読んでも映像を見てもわかりませんね。
近々、「坂の上の雲ミュージアム」に行ってみようかと思いました。
そして4月からの再始動。〜自ら仕事を創造して〜がんばりたいと思います。


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